1828人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
俺は千に手を伸ばした。
千の前髪の分け目から覗く、心なしか青白い額に触れそうになった…とき、
「…っ!!!」
手を振り払われた。
俺は驚いた。
ショックとかそういうのじゃなくて、ただ純粋に驚いた。
これがアキちゃんとかならまだしも、相手は普段くっついてくる千だぞ?
俺が愕然としている間、千は俯いていた。
すると突然、顔をバッとあげて、
「…ごめ、…!」
くるりと体を反転させて会場から走って出ていった。
千の顔は青く、少しだけ涙目になっていた。
千とはしばらく一緒にいたからわかる。
…多分さっきの自分の行動にショックを受けている。
「俺は平気だぞ。でも、お前のことが心配だ」
そう伝えたくて、俺は追いかけようとした。
千はきっと、俺と千が初めて出会った場所にいるはず…!
しかし、純に手を捕まれて止められる。
「止めときなよぉ。千だって一人にして欲しいときくらいあるでしょ~」
確かにそう…かもな。
…もしかしたら俺はいくらかショックを受けたのかもしれなかった。
最初のコメントを投稿しよう!