第九章 二人目の転入生

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「……ん、ん…」 「おはよ、よく眠ってたな。そろそろ帰るぞ」 「うん…」 今日は比較的暖かかったとはいえ日が暮れてしまうと寒い。凍る。 帰宅です。帰寮します。 「寒くなってきたなぁ」 「そ…だね」 千からそろりと手が伸ばされた。かわいい。いいよ。手を繋いだ。 二人とも手が冷たかったけど、ずっと繋いでいたら段々暖まってきた。 「……あ、った…かい、ね」 「あぁ、そうだな」 思わずにこにことしてしまう。 千も少し笑顔で、俺といることで少しでも安心してくれてると思うと嬉しくなる。 昨日の千を思い返すと、今はだいぶ元気になっているようで安心した。 ……… 徒歩徒歩そして徒歩。 相も変わらず遠過ぎる寮まで歩き続ける。 ホモと勉強のせいで彼女なんていたことのない俺はこんなに長い時間人と手を繋いでいたことがない! この学園で生活するなかで徐々にホモにかぶれてきた俺は繋いだ手を意識していた…ちょい恥ずかしい。 「せーん。楽しそうだねェ」 来たもうほらさぁほらぁ……
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