第2章 団体戦 海 其之一

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壁を越えて、地に足が付いた時、ミロはよろけた。 「おっと!」 足元がおぼつかない。 どういう訳かと視線を下げると木の床板が見えた。 「え?」 黒ずんでいて、かなり傷んでいる。 恐る恐る足踏みをするとぎぃっと木が軋む音がした。 頭上では海鳥らしき鳴き声が無数に聞こえ、 空を見上げると眩しい太陽が目に入った。 ミロは思わず手で日の光を遮る。 「おい」 突然声を掛けられ、ミロは後ろから肩をつかまれた。 「はい?」 ミロは身構えながら後ろを向いた。 視線の先に岩を荒く削り出したような割れた腹筋が見えた。 そのまま視線を上げる。 見上げた先には巌のような大男の顔が……あった。 しかも隻眼で眼帯をしている。 「お……お」 ミロは恐怖で声にならない声を漏らし、 膝ががくがく震えるのを感じながら 見下ろす隻眼の大男と見つめ合っている。 「お前、新顔だな? 団体戦の決まりは知っているか?」 隻眼の大男が親切そうにミロに尋ねる。 「え? いや、分からないです」 ミロは震える声で返事をして、咄嗟に紙の束と羽根ペンを手に持った。 「ふむ。海の団体戦では帆船に乗り、海上で戦うのが決まりなのだが、 勝利条件が三つ存在する。一つ、相手を全滅させる事、一つ、 相手の旗を奪う事、一つ、終着地点となる島のアーチを先に潜る事。 このどれか一つを達成すれば良い。後は臨機応変に対応しろ」 隻眼の大男はそれだけ言って、船首の方に行ってしまった。
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