第1章 母

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 しかし、母が自らを責めても意味の無い事であった。  その日の晩も、帝が所望なされたのは桐壺の更衣。  朝の一件があり、さすがに明け方には戻ると告げた母を強く抱き締め、帝は愛しそうに告げる。 「あと少しだけ…。いいだろう?私はそなたを離したくないのだ。桐壺…」 「帝…」  母の想いも空しく、翌日も、その翌日も、日が高く昇るまで帝は、桐壺を離さなかった。母・桐壺の更衣は苦悩していた。愛する帝の側に少しでも長くいたい、という願望と、弘機殿の女御の恐ろしい眼差しが、彼女の胸を苛み続けた。
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