第1章 母

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 その稀有なまでの純粋さに、帝は惹かれたのかもしれない。  帝が普通の貴族で、母と普通の出会いをして結ばれていれば、二人は年老いるまで幸福に暮らせたのかも知れなかった。  そして、この、『私』も、このように数奇な人生を送る事にはならなかったであろう…。  考え出したらきりがないが、それでも、私は、母の事を考えずにはいられない。
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