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ここまで語り終えて、ふと、隣に座る紫の上の顔を見ると、彼女は深い憂いに沈んだ瞳で、何かを考え込んでいた。
「紫の上…?いかがなされた?」
私が訊ねると、紫の上はゆっくりと私の方に向き直り、優しい声音で言う。
『わたくしは、桐壺の更衣様に感謝しております。桐壺の更衣様が、命を懸けて、殿をお生みになってくださったからこそ、わたくしは、殿と出会えたのですから…』
相変わらず冷たい手をしていたが、紫の上の言葉は限り無く暖かく、私の胸に染み渡っていった。
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