第2章 命の光

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「ありがとう。今の私がここに居るのも、母のお陰だ…。母は間違いなく、自らの命を犠牲にして私を生んだ。けれど、もっと別の方法があったんじゃないかと、今でも思ってしまうんだ…。母が命を失わずとも、私を生めた方法が…」    私は、紫の上の手を握りしめたまま、庭の遠くに視線を投げた。紫の上も、同じように、遠くを見つめる。  最愛の妻に、これまでの人生を打ち明けながら私は、自分の人生が、目の前で走馬灯のように鮮やかにくるくる流れていくのを見た気がした。    何故か理由は分からないが、先程から侍従の君を筆頭に、数人の女房達がヒソヒソと何やら言い合いながら、後ろから私を訝しげに見つめている。  まるで、奇妙で不可解な得体の知れない物を見るような目でずっと…。
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