第2章 命の光

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 不愉快な気持ちにならないでもなかったが、私は紫の上との時間を下らない事で邪魔されたくはなかったので、無視を決め込んだ。  気にしようと思わなければ大抵の事は気にならなくなる。 「紫の上…聞いてくれますか?ずっと心の底にしまってきた母や父帝への想いを」  私が告げると、紫の上はこくりと頷く。  私は、最初から彼女が頷くと分かっていた。彼女が私の願いを拒みはしないと分かっていながら、いちいち聞くのが、私のいつもの癖だった。
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