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もしかすると、この紀伊の守は義母に…。
私はある種の勘が働くのを感じ、もう少しこの紀伊の守という男をからかってやろうと思った。
「そんなに若い妻ならば、伊予の介はさぞや大切に、溺愛しているのだろうね?」
私が問うと、紀伊の守は自分の事を言われたかのように真っ赤になり
「仰る通りにございます。父は後妻をまるで“天女か神”のように崇め奉っておりますが、老人になってからのあまりの好色ぶりに、見てるこっちの方が恥ずかしくなる有り様です…私をはじめ、一族の者は正直この縁組みに今でも納得してはおりません」
と、顔をしかめた。
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