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何者だ?と思い、振り返ると、薄暗い中、妙齢の女が驚愕した面持ちで立ち尽くしていた。
どうやら、この女房が"本物の中将の君“らしい。
まぁ、ここで出くわした所でどうと言うことはない。 私が普通の身分の若造なら「不届き者よ!」と声を上げ、奥方から荒々しく引き離す事も出来よう。
だが、生憎、私は"普通“ではない。ここで騒いで事を荒立てたら、恥をかくのは、私ではなく、この女の方なのだ。
なすすべもなくおろおろとしている中将の君に、私は微笑みかける。
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