第7章 空蝉の人

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「明け方、迎えに参れ」  そう告げて、私は胸に抱いた女をひょいと抱き上げ、奥の寝所に向かい襖を閉めた。  夜具の上に女を横たえ、私は彼女に覆い被さる。女は震えながら最後の抵抗のように、着物の胸元を必死に手で押さえ、うつ伏せになった。  そんな事をした所で、無駄なだけだ。  むしろ、男の欲情を煽るだけだと気付かないのか?  クスッと笑みを洩らし、私は女の髪を撫でる。 「何もそう驚く事はございません。私は決して出来心でこのような真似をしている訳ではない。…心から貴女をお慕いしているからこそ…こうして危ない橋を渡ってまで、貴女に想いを打ち明けたのですよ。これは前世からの縁なのです。愛しい人」  女は答えない。私は指先をゆっくりと這わせる。髪から、耳へ…。耳をなぞり、頬へ…。そして、そっと唇に触れる。  びくり、と女の体が震えた。  
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