第2章 命の光

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 おとなしく、自己主張をほとんどしなかったと言われている母だが、内心は多くの苦悩や葛藤を抱えている人だった。    帝から受ける愛の重さを有り難く尊く思う一方で、いっそ日陰の身でいた方が人の妬みや嫉妬を買うこともなく、心穏やかに暮らせたのではないか?と考えたり、かと思うと、これで良かったのだ、と自らに言い聞かせたり…。  人一倍、他人の心に気を遣う人であった為に、自分を虐め抜いた弘機殿の女御に対してまで、自分のせいでいらぬ苦しみを与えてしまった、と呵責の念を抱いていた。
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