第2章 命の光

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 父帝は、一刻も早く自身の子の顔が見たくて堪らず、母・桐壺の更衣とまだ産まれたばかりの私を、宮中に呼び寄せた。 「おぉ!こんなに美しい赤子は初めてじゃ…桐壺。よく頑張ってくれた」  目に入れても痛くないと言わんばかりに、産まれた皇子を抱きながら相好を崩す帝に、桐壺の更衣は嬉しそうに笑んでみせる。父帝と母・桐壺の更衣にとって、一番幸せな時間だった。  この頃には後宮の妃達の桐壺への虐めの実態を知っていた父帝は、皇子を連れて宮中に戻ってきた桐壺を、『御息所(みやすどころ※帝に寵愛され、皇子・皇女を産んだ妃の尊称)』として、丁重に扱うようにと、御触れを出す。  それからは表立って、更衣を虐め罵るような事は無くなっていった。  が、しかし、更衣が男皇子を生み、また、丁重に扱われるようになると、世間は 『もしや、帝は寵愛深き桐壺の更衣の位を女御に格上げし、更衣との男皇子を、東宮になさるおつもりではないか?』  と、噂するようになった。
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