第2章 命の光

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 この噂を耳にした弘機殿の女御が黙っているわけがなかった。  しかし、嵐の夜の一件と、帝が桐壺の更衣の周辺に目を光らせている事もあり、何の手出しも出来ず、苛立ちばかりを募らせていったのだった。  父帝と母・桐壺の更衣の絆は私という皇子を通してより強くなり、しばらくは夢のように穏やかな月日が過ぎていった。  私が三歳になった年、御袴着(おんはかまぎ※初めて袴を着ける時の祝いの儀式。三歳~七歳の間に行われた)の式が宮中にて執り行われた。  義兄の一の皇子の式に劣らないようにと、帝は内蔵寮(くらづかさ)の役人達に、納殿にしまいこんでいた宝物を惜しみ無く使わせて、盛大に行わせた。  私は、義兄の袴着の式がいかなる物だったか知らぬが、一の皇子の袴着の式を知る人から見れば、私の袴着の式は、正直、一の皇子以上に格段も素晴らしい物だったらしい。    
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