第2章 命の光

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 三歳の私は、確かにこの時、幸せだった。両親の愛を一身に受け、優しい人々に囲まれて…このまま、春の光のように暖かな幸せが続くと思っていた。  だが、幸福は突然終わりを告げた。何の前触れもなく。  その年の夏の終わりに、母は再び病を得て、父帝に里下がりを申し出たのだ。私が生まれて三年、時々体調を崩す事はあっても、すぐに持ち直していた母だけに、帝も 「また、いつもの軽い体調不良であろう。もう少し宮中で様子を見なさい」  と、里下がりの件を真面目に取り合おうとはしなかった。
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