第2章 命の光

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 母は日に日に弱っていった。もはや加持祈祷も、高名な医師による治療も、何の効果も望めなかった。  粥さえも喉を通らず、母は、生ける屍の如く、身動(みじろ)ぎもせず、床に伏せたままだった。    それでも、どうしたわけか美しさは失われる事がなかった。  病に面やつれした姿すら、儚げな魅力を漂わせ、神秘的な雰囲気すら醸し出していた。  帝は愛しい女が苦しむ姿を、自分の事のように嘆いた。
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