第2章 命の光

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 それから、美しく澄んだ瞳を涙で濡らし、 「本当に…もっと早くこうなる事がわかっておりましたなら…」  と、息も絶え絶えに言い、桐壺の更衣は、形を確かめるように帝の頬に触れる。帝は 「もういっそこのまま、この宮中で最期まで貴女の側に…!」  と、桐壺の更衣を激しく、だが優しく抱き締める。今、離したら、もう永遠に触れる事が出来ないのでは、という悲しい予感に胸を締め付けられながら。
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