第1章 母

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 いつも、小さな微笑みを浮かべて、苦悩を顔には出さない女人だったと、私は父帝から聞かされた事がある。  強く抱き締めれば壊れてしまうかのように、小柄で華奢な人だったとも…。  父帝は、母が他の妃達から日々、受ける、陰湿な虐めに気付いていなかったのだろうか?私にはそれが不思議でならない。  幾ら、母・桐壺の更衣が、悩みをひた隠しにしていたとしても、普通、気付くものではないのか?愛している女人ならば尚更…。    なぜ、亡くなる前に何の対策も出来なかったのだろう?  私は父帝に、対し、そのような疑念を持っていた。  父帝が、何かしら策をこうじていたならば母は、亡くならずとも済んだのではないのか…?
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