第3章 藤壺

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 朝、目覚めると既に日が高く昇っていた。身を起こし、私は首を傾げた。  一つ布団に、一つ枕だったからだ。普段、私と紫の上は、一つ布団に二つ枕を並べて同じ床につく。  若かりし頃からずっとそうしてきた。  なのに、どうした訳か、今、あるのは私の枕のみ。  まるで、私が一人寝をしたように…。  だが、私はそれ以上深く考える事をやめた。  恐らく、妻は先に起きたのであろう。そう思った。
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