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「亡き大納言の切なる願いであり、娘の美しさをみるにつけ…」
と、祖母は言うが、単なる言い訳に過ぎない。
祖母は、欲を抱いていたのだ。世間知らずの癖に…。
娘が、帝の寵妃になり、御子を産めば…。御子がやがて東宮になれば…。
亡くなった大納言以上に野心を抱いていたのは、この祖母だったのではあるまいか？
祖母の願い通り、桐壺の更衣は帝から並々ならぬ寵愛を賜った。
祖母の願い通り、やがて男御子である私が生まれた。
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