第3章 藤壺

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「死んだ後まで、人を苛立たせ、むかつかせるような御寵愛だこと」  と皮肉たっぷりに言い、弘機殿の女御は嘆きに沈む帝を傷付ける。自らの自尊心を傷付けられた復讐をするがごとく。    秋の夜の月を眺め、物思いにふけり憂いに沈む帝に当て付けるように、弘機殿の女御は自らの局で、深夜まで管弦の遊びに騒ぎ興じた。  清涼殿まで響く、弘機殿の女御の高笑いに、帝は眉を潜める。 「なんて女だ…なんて思いやりのない…」    
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