第3章 藤壺

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 これには、帝の側に仕えている女房達も眉を潜めた。いくら弘機殿の女御とはいえ、あんまりな…。皆がそう思いつつも、誰一人として口に出す者がいなかったのは、弘機殿の女御の耳に入れば何をされるか分からないという恐れからだろう。  弘機殿の女御はそういう女だ。身分の高さを鼻にかけ、自分より抜きん出る者は許さない。この女は、自らがなぜ愛されないのか、なぜ帝は桐壺ばかりに心を注いだのか。自らに非がある事など考えもしない。  何でも自分が一番でなければ気が済まない。自意識過剰な自惚れの強い女だ。
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