第3章 藤壺

23/51
前へ
/214ページ
次へ
 祖母の屋敷に埋もれていた私は、宮中で輝きを取り戻した。 「おぉ!なんという美しい皇子だ。これが我が子とは…桐壺によく似ておる。あぁ、よくこの私の息子に生まれてきてくれた」  宮中で久々の再会を果たした時の帝の驚喜。涙さえ浮かべ、私を抱き締める帝のその胸の中には、母の姿があったに違いない。  幼い私は母の『桐壺の更衣』によく似ており、また、後に出会う『藤壺の女御』にもまたよく似ていた。  
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加