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その当時、私が向かう先は日によって違っていたが、大半は麗景殿の女御の元か、義兄慕わしさで弘機殿の女御の元であった。
麗景殿の女御は、後に私の妻の一人となる花散里の君の実姉で、とびきりの美女ではないが品が良く、穏やかなお人柄で、まるで日だまりのようにほっとした気持ちになれる人だった。
私の母を亡くして以降は、ほとんど妃達の元へ足を向ける事はなくなっていた父帝も、麗景殿の女御にだけはお心をお許しになり、時折出向かれていた。
だが、しばらくして私は何処の妃達の元へも遊びに行かなくなる。
あの方が、私の前に現れたからだ…。
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