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「次に、また浅ましい真似をなさったら、これぐらいでは済みませぬぞ」
吐き捨てるように言い、去っていく弘機殿に、母は何も言い返す事なく、ただ頭を下げていたという。
「桐壺の更衣様…大丈夫ですか?」
母に仕えていた女房(※侍女の意。平安時代は、侍女を女房とよんだ)の左近の君が訊ねると、母は
「大丈夫。わたくしが悪いのですから…仕方ありませぬ」
と弱々しく微笑み、泣き言一つ言わなかった。
表向きは気丈に振る舞っていたのだろうが、純粋な母は、弘機殿の言葉を真に受け、自らが悪いと思い込んだ。
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