2人が本棚に入れています
本棚に追加
アパートの一室めがけて、公安の人間が2名ほどと、手錠を施された人間一名とがあるいていく。
それほどのアパートでもないが、古くはない。俺にとってはとてもいい場所だった。拘束をされないように、目立った動きはしてこなかったのだが、どうにもねぇ・・すぐ引っかかってしまったようだ。
「ピンポーン」
お約束のチャイムが鳴る。そして鍵を開け父さんが出てきた。
警察の人の持ってる手帳みたいなのを見せながら、ちょっとキツめの眼鏡をかけている、みつ編みの女刑事が言った。
「警視庁公安部、細田沙穂と言います。捕まえようとするたび、引っ越しや逃走をくりひろげてくださいましたね。やっとの思いで・・・うれしいことです。」
そう笑うと、もう一度、父さんにも警察手帳をつきつけた。
「ごめん、父さん。つかまっちゃった。」
そう言う俺に父さんはびっくりしているみたいだ。そりゃそうだ今まで捕まったことなかったからだ。
「まじか、逃げるぞ」
そう言うと、父は、玄関に用意していた催涙スプレーを撒き、その場から俺も連れて逃げようとした。
だが、階段を降りようとしている途中、筒井智也と言っていた少年の陰から出てきた、大きな猫に一瞬で捕まえられてしまった。その猫は大きな三毛猫ですごいふわふわしていた。
この国での法律では、逃走補助をしたものも刑に罰せられる。
とうとう、僕と父は捕まった。
僕と父は別送されるみたいで離ればなれになることになった。
「最後に話ぐらいはさせてあげる。」
そう公安の人がいうと俺と父さんを近くによせてくれて会話をさせてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!