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「父さんごめんね。俺がもう少し前に言っていたら・・・。」
第六感は既に告げていたのに、しばらく言えずにいた。なんでかって言うと今の暮らしがすごく気に入っていたからだ。
「気にするな、浩。俺のことは何もきにしないでくれ。おまえにはいつも苦労かけたよな。」
「そんなことないよ。苦労だって思ってない。俺は父さんのこと尊敬している。」
父さんはすこし笑った。
「これからのこと、どうなるかわからないけれども、笑顔はわすれてはいかんよ。」
「ありがとう父さん。父さんも元気で」
細田という女性に「そろそろ連いくから部屋からいる物を持って行きなさい」と言われて別々にされて、一人荷造りし、俺たちは連行されることになった。
そして俺は、車にて筒井という男の隣に押し込まれるようにいれられた。
車の中には、さっき猫をだしてみせた、筒井という少年と助手席には、セミロングの髪の、細長い目つきの、でもとても綺麗な少女が乗っていた。
「もー沙穂ちゃん、そんな乱暴にいれる事ないでしょ。」
運転席に座ろうとしている、細田沙穂という女性に筒井という男は言った。
「僕が見せた猫ね、ああいうのが君にもあるはずなんだけれど、調書には、子供の時一回の観測のみ。って書いてあるんだよね。」
「筒井、あんまり詮索してやるな。」と細長い瞳の綺麗な人がいった。
「亜紀さん、重大なことですよ。」
「それどころじゃないだろう、早坂君はさっき捕まったばかりだよ。」
亜紀さんと言う人の通り、今は何も話したくないくらい落ち込んでいる。
「拘束具、外してやれ、後ろにあると痛いだろう。彼は抵抗する気持ちがなさそうだ。」
亜紀さんという人の言う通りかなり痛い。筒井という男が後ろの拘束具を鍵で外してくれた。
「早坂君、私は高等部2年、斎木亜紀です。よろしくね。」
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