第1章

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俺たちが学食についた頃には、もうたくさんの行列が出来ていた。 「ここの学食と、惣菜パンは、基本的に無料だから心配しなくていいよ。」 「だけどこの並びようはすごいね。」 大きなルームに机と椅子が並んでいる。 結局20分ぐらい並んで、A定食を頼んだ。広瀬はB定食を選んで、二人席についた。 「そういえばさ、由良さんも特Aなんだよね。ただあのバッチを付けるのが嫌なだけみたいで」 「ふーん、あの人ってどういう人なの?」 「まあ、変わっているね。あの人「由良図書館」って言って特定の部屋に図書館みたいなの作っちゃって、俺もたまに本借りに行くんだけど、いろんな専門書が置いてあって結構この図書館が皆に浸透しちゃって。結構名前も浸透しちゃってて。柔道部も由良先輩が立ち上げたんだ。結構すごい人なんだよなー。」 B定食のカレーをスプーンですくいながら、広瀬は喋った。 「そういや疑問に思ってたけど、広瀬は広く浅く友達を作るタイプなの?」 広瀬に特定の友人がいないことに、気がついていた。広く浅く付き合ってるからこそ俺みたいな新入りに優しくしてくれるんじゃないか、と。 「そうだね。俺は今まで広く浅く人付き合いしてきた。特Aのお前にこうして付き合ってるのも特定の遊ぶ相手がいないからだよ。誰かと特定に会話したりするのは・・怖いんだ。特Aのお前なら俺が怪物を出してソレが暴れたりしたとき、沈めてくれるんじゃないかと思ったんだ。だから早坂に近づいた。ごめん。」 そう言いながら頭を下げた。 「・・・気にするなよ。頭上げろって。・・・いいよ。消してやるよ・・。だから一緒にいればいい。」 「ごめん・・ありがとう」 広瀬が頭を上げながら、真剣な表情をしながら言った。 「まあ、それは置いておいて、飯食わないと。時間ねーし。お昼の時間は1時まで、早く食べないと飯がもったいないことになる。」
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