第1章

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今日の授業は全く頭にはいってこなかった。 終業と同時に広瀬の様子が知りたくて、先生、などに聴きにまわったが、どこにいるのか全くわからなかった。というより教えてもらえなかった。 なので、高等部の人に聞きに行くことにした。こういうことを知っていそうなのはあの二人しかいない。 今日は空の色は暗く曇天だった。いつもの廊下はすごく暗く感じ、外では雷がなっている。多分だからわからないが雨もふっているのかもしれない。ここは結界の中だから、何もわからなかった。 体育館につくと由良さんと筒井さんが柔道部の練習をしていた。 「おお早坂君いらっしゃい」  由良先輩が携帯型ゲームをやりながら答えた。 「受身から練習してみる?受身は覚えておかないと」 筒井さんがTシャツとジャージ姿で、そう言った。 「あの~実は聞きたいことがあってここに来たんです。」 そういいながら、俺はお辞儀した。 「ケガをした人間が担架ではこばれた場合どこにはこばれますか?」 筒井さんは眼鏡を一度外しながら、Tシャツの裾で拭いてまた眼鏡をはめる。 「君は何をしたいんだい?」 「友達の見舞いです。様子が知りたいんです。」  筒井さんは、少し難しい顔をして、話し出した。 「病院は生徒が入れない場所にある。もし行くとしたら君は一線を超えることになる。」 俺が黙ってしまっていると肩をぽんと筒井さんに叩かれ「そのうち元気に学校に復活してくるよ。それまで待ったらいい。」 由良さんがしゃがみこみながらこっちを見ている。
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