Act.1 Kings, in the garden

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 一人の少年が、巨大な画面に移される映像を凝視していた。彼と同じ黒い制服に身を包んだ少年たちが、トランプを握っている。四人でテーブルを囲んでいるところから見ると、行われているのはコントラクト・ブリッジか。    勝負は大詰めのようで、会場のどよめきは止まる気配がない。唇をきつく結んだ少年がカードをテーブルに落とす。  「ただいま戻りました、先輩」    自動ドアが開いて、別の少年がAS(アームストロング)管制室に現れた。「黒」の生命維持装置の異名をとるこの高機能大型コンピュータールームに立ち入ることができる人間はごく一部に限られている。   見知った『天道郁真(てんどういくま)』の文字が少年の手元に浮かび上がるサブモニターに映し出されるのを確認するまでもない。    「今いいところだぞ」    郁真の先輩――水瀬暁人(みなせあきと)は画面から視線をそらさずにそれだけ言って、おもむろに脚を組んだ。本人は自分が秘書を迎え入れる大企業の社長にでもなったつもりでやっているのだが、いかんせん暁人のキュートな童顔やお世辞にも高いとはいえない身長、ポーズからは威厳などまったく感じられない。    郁真はその感想を残さずすべて口に出した。魔が差したともいう。
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