Act.1 Kings, in the garden

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 「先輩、そういうの全然似合いませんよね。ちっちゃいからかな。かわいい顔してるし」  「う……うるさい! 別にいいだろ! だいたいお前は」  「ほら、そろそろ出てきます」    ごまかすように暁人の肩をぽんぽんと叩いて画面に向き直らせる。  次にカードを出すのは、端正な顔立ちの青年だ。カメラが彼の表情を捉える。彼はしばし考え込んでいたが、ふっと笑みをこぼすと一枚のカードを長い指で挟んで丁寧に置いた。余裕と気品を感じさせる仕草に感嘆の声があちこちから聞こえてきた。  対照的に追い詰められる格好となった次のプレイヤーは、カードを半ば投げるように置き、肩で息をしている。それを横目で見ていた青年が一瞬愉快そうに口角を上げたのを郁真とカメラのレンズは見逃さなかった。またやってるよこの人、程度にしか郁真は思っていなかったが。    カメラが大きくスライドして、最後のプレイヤーの顔を映した。    「――あいつらの勝ちだ」  
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