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それにしても『天は二物を与えず』って言うけど、与えられてる人っているもんだなあ。
あの後教室に帰って長野さんに城戸さんの事話したら、詳しく教えてくれたんだけど・・・城戸さんの家ってすごいらしい。
お父様はホテル王だとかで、どうやらウチの会社もお世話になってるみたいで・・・
城戸さんのお父様の弟さんがこの学園の理事長をしているという事も城戸さんの家の凄さを物語っていた。
「桃花」
桃花が自宅のリビングでくつろいでいると、晴臣がキッチンから甘い匂いを漂わせながら出てきた。
「・・・兄様・・・その格好、学園の女子には見せられないよ?」
シンプルなストライプ柄だがピンク色のエプロン姿の晴臣は、両手には食べやすくカットされた抹茶シフォンを乗せた皿を持って桃花の目の前のテーブルに置いた。
「晴臣様はホントに手先が器用で飲み込みも早く・・・感心してしまいます」
私が京都から連れてきたメイドの雅美(まさみ)さんは兄様が脱いだエプロンを受け取ってキッチンへ入って行った。
あのエプロンはいつも雅美さんが使っているものだ。
「今新作考えてるんだけど思い浮かばなくてさあ~甘いもの食べるとひらめくだろ?」
「・・・甘いものでひらめく男子なんて晴臣兄様だけよ」
晴臣は顔も甘いが趣味も甘い。
桃花は晴臣に呆れながらもフォークを手に取ると、抹茶シフォンに添えられたチョコレートソースのかかった生クリームをたっぷりつけて口に入れる。
「美味しい~っ!・・・兄様、いいお嫁さんになるねえ」
こんな甘々な男子・・・出来過ぎて私は逆に疑っちゃうけどな。
顔よし、頭よし、家柄よし、料理もできる(実はスイーツ以外もできる)、すでに収入あり。
しいて言うなら彼女がいないだけなんだけど・・・
まあこれだけ出来過ぎたら普通の女子じゃ無理か。
「桃花、友達できたか?」
「うん。VIPばかりかと思ったら普通のコも結構いて楽しいよ?・・・そういえば兄様、前田さんの事知ってたみたいだけどやっぱりどこかの御令嬢?」
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