Episode1 お嬢様はかく語りき 

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 凛とした佇まいや上品な話し方・・・  慌てることなんてなさそうな冷静な態度。  普通の女子高生にはない落ち着いた雰囲気が桃花には気になってしょうがなかったのだ。  「いや?お父さんは一般的なサラリーマンじゃなかったかな?でも彼女入学以来成績トップを維持してて、授業料免除っていう特待生らしいよ」  「ずっとトップなの!?・・・すごいっ!そんなに頭いいんだっ?」  城戸さんといい前田さんといい・・・ウチのクラスってすごいなあ。  ・・・まあここにも非凡な才能を持つイケメンがいるんだけどさ。  「そうだ、今週の土曜日は完成記念パーティーあるから忘れんなよ?」  「ああ、そうだっけ?」  そう。  《恭鳳堂》東京本社の完成記念パーティーがあるのだ。  パーティーって午後からだったっけ?  お母様は・・・来ないか。  忙しいみたいだしね?  桃花は半ば諦めに近いため息をついた。  桃花も晴臣もここ半年程前に会って以来、母に会っていない。  父も社長業で忙しいが、桃花が東京に来てからは週に2回位は朝食を一緒に摂っている。  着替えは取りに来てるらしいんだけど・・・すぐトンボ帰りで会わないんだよねえ。  「雅美さんに言ってドレス選んでおけよ?宏貴も呼んでるはずだから」  「・・・わかってるよっ」  晴臣の言葉で桃花は途端に苦い顔になった。  私はなんだか急にノドが詰まって雅美さんが出してくれたアイスティーを慌ててちゅうっと飲んだ。  ・・・宏貴くんか  ・・・悪い人じゃないんだけど・・・さあ?  宏貴くんに会うの・・・緊張するし気が重くなるんだよね。  †††  「やっばーいっ」  寝坊しちゃった~っ?  昨日雅美さんとドレス選んでたら・・・  ヘアースタイルの予行練習までする事になっちゃって~っ!  転入2日目なのに遅刻ギリギリって嫌すぎるし~っ?  桃花は全速力ではないがブーツの踵が傷つかない程度につま先に重心を置きながら小走りする。  桃花は左手の腕時計をちらっと見やると8時15分を指していた。  このまま正門から入ったら間に合わないかもぉ~っ!?
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