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・・・駄目だ・・・ラチあかないわ。
「ともかく教室で名前で呼ぶの止めてよね?」
成宮と親しく見える事だけは絶対に避けたい。
成宮はこの学園では明らかに他の生徒とは違う。
他の生徒に怖がられている成宮と私が知り合いだと思われたら・・・
私まで避けられちゃうじゃないっ?
転入したばかりで友達いないなんて嫌よ~っ!?
なんとか成宮には他人のフリしてもらわなきゃ・・・
私の東京での楽しいスクールライフは絶対死守しないとっ!
桃花は平静を装いつつ、内心はひやひやしていた。
「なあ、さっきと今全然話し方違うけどなんで?」
渉は通路の柱にだるそうにもたれかかり腕組みをする。
「・・・それも言わないで」
「なんで?今の方が自然だし俺は好きだけど」
渉は桃花を見てフッと微笑んだ。
外見だけは『サガ』様に似てるのに・・・
唇の端を少し上げて微笑む姿も
どこか冷めた感じで遠くを見る仕草も
油断しているとぼうっと見惚れてしまうくらい・・・
悔しいけど晴臣兄様と競る程の容姿端麗だ。
もうっ。
黙っていればイケメンなのに何なの・・・よく喋るわね?
クールなイケメンは寡黙じゃなきゃダメなのよ?
あくまで桃花の持論だ。
「私、お嬢様っぽくなるためにこの学園に入ったの・・・なのに昨日あんなことしちゃって」
あ~あ~・・・
よりにもよってこんな男の前で一本背負いしちゃうなんてっ?
私、今・・・超ピンチに陥ってる?
「アンタには知られたけど他の人には内緒にしてほしいの」
「・・・それ俺にメリットあるの?」
「メリットって・・・」
何言いだすつもり・・・なの?
「内緒にしてもいいけど、その代わりの見返りがないとなあ・・・?」
淡々と話していた渉が何か思いついたのかフッと笑みを漏らした。
「・・・・っ!?」
見返りって・・・なんなのっ?
この男~~っ!?
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