Episode1 お嬢様はかく語りき 

18/39
前へ
/39ページ
次へ
   ・・・駄目だ・・・ラチあかないわ。  「ともかく教室で名前で呼ぶの止めてよね?」  成宮と親しく見える事だけは絶対に避けたい。  成宮はこの学園では明らかに他の生徒とは違う。  他の生徒に怖がられている成宮と私が知り合いだと思われたら・・・  私まで避けられちゃうじゃないっ?  転入したばかりで友達いないなんて嫌よ~っ!?  なんとか成宮には他人のフリしてもらわなきゃ・・・  私の東京での楽しいスクールライフは絶対死守しないとっ!  桃花は平静を装いつつ、内心はひやひやしていた。  「なあ、さっきと今全然話し方違うけどなんで?」  渉は通路の柱にだるそうにもたれかかり腕組みをする。  「・・・それも言わないで」  「なんで?今の方が自然だし俺は好きだけど」  渉は桃花を見てフッと微笑んだ。  外見だけは『サガ』様に似てるのに・・・  唇の端を少し上げて微笑む姿も  どこか冷めた感じで遠くを見る仕草も  油断しているとぼうっと見惚れてしまうくらい・・・  悔しいけど晴臣兄様と競る程の容姿端麗だ。  もうっ。  黙っていればイケメンなのに何なの・・・よく喋るわね?  クールなイケメンは寡黙じゃなきゃダメなのよ?  あくまで桃花の持論だ。  「私、お嬢様っぽくなるためにこの学園に入ったの・・・なのに昨日あんなことしちゃって」  あ~あ~・・・  よりにもよってこんな男の前で一本背負いしちゃうなんてっ?  私、今・・・超ピンチに陥ってる?  「アンタには知られたけど他の人には内緒にしてほしいの」  「・・・それ俺にメリットあるの?」  「メリットって・・・」  何言いだすつもり・・・なの?  「内緒にしてもいいけど、その代わりの見返りがないとなあ・・・?」  淡々と話していた渉が何か思いついたのかフッと笑みを漏らした。  「・・・・っ!?」  見返りって・・・なんなのっ?  この男~~っ!?  
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加