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桃花は歩いている横をさっきから高級外車が何台も走り過ぎているのを横目に、登校中の生徒達の流れに沿って学園内の歩道を歩く。
・・・明日から自転車で来ようかなあ。
でも自転車乗るとイメージ崩れちゃうかな？
せっかく編入したんだし・・・
お父様にはキツく言われてるし、私、東京ではお嬢様らしい振る舞いをしなくちゃ！
去年晴臣兄様についてきてここを訪れた時から憧れだったの。
私も鷺ノ宮学園に通いたいってずっと思ってた。
だって・・・
私の大好きな『らくおん』の主人公達が通う、私立落陽女学園の制服に超そっくりなんだもの～っ！
『らくおん』というのはお嬢様学校を舞台にした、今大人気のアニメだ。
ファッションに詳しい桃花もビックリするくらい、『らくおん』では超美麗なお洒落女子が多く登場する。
見た目は深窓の令嬢なのだが、桃花は実は・・・アニメ好きな女子高生だ。
キャメルカラーの短めジャケットに赤系チェックの身体にフィットしたワンピース。
スカート部分は程よく短く、風に吹かれるとふわりと揺れるよう、広めのプリーツが施されている。
はああっ・・・私・・・この制服着てるだけで超萌えるわあ。
しかも・・・
さっきから右も左もこの超可愛い制服だらけ・・・
まさに『らくおん』の世界みたい～っ！
桃花の心の中では思いっきりジャンプして飛び上がりたいくらいテンションが盛り上がってはいるが、あくまで表情は崩さず高等部の校舎へ向かった。
†††
やがて高等部の校舎の入口近くまで来た時、桃花はある違和感を感じた。
あの制服って・・・鷺ノ宮学園じゃないよね？
先程目の前を足早に通り過ぎた男子の着ていた制服が、紺色のブレザーで明らかに違っていたからだ。
・・・あっちに行ったけど、校舎の裏・・・？
桃花の好奇心がムクムクと沸き始めた。
桃花は足音を忍ばせつつ他校の男子を追う。
見つからないように壁の凹凸などに隠れながら歩いていくと、校舎の奥には大きな体育館が見えた。
体育館裏って・・・やっぱりあれよね？
「オマエ、ウチの友達(ダチ)３人も怪我させてくれたらしいな？」
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