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凄みをきかせた男の声。
― やっぱり予想通り~っ?ビンゴっ?
こんなベタな事が日常に起こるなんて・・・
名門私立鷺ノ宮学園にあり得ない~っ!?
苛め?喧嘩?
この先の展開どうなるのっ?
桃花はお互い睨みあっている3人の男達から目が離せなくなっていた。
「はあ?アイツ等から喧嘩売ってきたんだけど?」
だるそうに背中を壁に預けた男が言った。
この男は鷺ノ宮学園の生徒のようだ。
ブラウン系のネクタイはラフに締められてシャツも開襟・・・真面目な生徒には到底見えないが・・・
「弱すぎて話にならなかったけどね」
鷺ノ宮の男子生徒は余裕の笑みを浮かべてフッと鼻で笑った。
他校の男子生徒2人に向けられたその表情は、冷ややかなものだった。
しかし桃花は自然にその男子の横顔に惹きつけられた。
あれっ・・・私、あの人どこかで見たような?
・・・どこで見たんだろう?
あ・・・!そうそうっ!
『サガ』様だっ
あの冷たい眼差しが超似てるし・・・
『サガ』とは、『灼熱のキメラ』という戦闘物アニメに出てくる主人公の敵役でクールな美形キャラだ。
何年前かに流行ったアニメで、桃花はこの前DVDを借りて観たばかりだった。
こんな所でリアル『サガ』様に会うなんて、やっぱり都会って違うわ~。
桃花は隠れることをすっかり忘れて『サガ』様を近くで見たくて3人に少しずつ近づいていた。
「アンタ何やってんだ?」
「きゃっ・・・」
いつの間にか後ろに居た他校の男子生徒に桃花は後ろ手に手を捕まれていた。
「成宮の知り合いか?」
「成宮?知らないわよ。私はただの通行人よ?この手を放しなさい!」
桃花は振り向いて男子の顔をキッと睨みつけた。
陶器のような象牙色の肌、ノーメイクでも長く濃い睫、挑むように見つめる大きくはっきりとした瞳・・・
男子生徒は桃花の美しさと強い口調に一瞬怯んだが、桃花をつかんだ手は放さなかった。
「フン・・・まあいい。成宮この綺麗なお嬢様に怪我でもさせたらオマエ困るよなあ・・・ここで騒ぎを起こしたくないだろ?」
「・・・・・」
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