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「・・・たく、アンタ何見てんだ?しかも喧嘩に巻き込まれて・・・」
桃花が考え込んで黙っていると、意外にも成宮から口を開いた。
あれ?リアル『サガ』様は結構話すんだ?
てっきりクールなキャラかと思ったんだけど?
「他校の生徒を見かけたから後をつけてきたのよ。そうしたらあの人が私の手を掴むから・・・無礼な人ね?知り合いなの?」
桃花は取りあえず桃花の中のイメージのお嬢様風に・・・高飛車な感じに言ってみる。
普段言い慣れていない桃花は斜め右上方向に目が泳いでしまっているが・・・
「知り合いじゃなくて勝手に目つけられただけ!しょっちゅう絡んでくるからアイツら適当にかわしておけばいいのに・・・」
「投げ飛ばすって・・・」と成宮は桃花に聞こえないように小さく呟いた。
余計な事をしたという風に迷惑そうな表情で成宮は再び塀にもたれかかる。
はっ
投げ飛ばすのはマズかったかな?
・・・でもでもっ文武両道なお嬢様もいるよ・・・ね?
「・・・貴方、もしかしてこの辺の暴走族のリーダーとか?」
2人もあっという間に倒しちゃったし。
「はあっ?おまえ何言ってんだ?」
「不良と言えば暴走族でしょ?」
「・・・これだからお嬢様は・・・俺は普通の高校生!」
「そんな乱れた服装で?」
「こんなの普通にいるぜ?・・・キッチリ制服を着る奴なんて今時優等生か世間知らずの金持ちだけじゃね?」
「そう・・・なの?」
まあ・・・そうかな。
名門とは言っても一般の高校生も通っているらしいし・・・
でも、この人は全然普通には見えないんだけど?
「なんか朝から疲れたな・・・フケるか」
成宮はそう言うと、すぐ後ろの垣根の茂みに身体を半分入れた。
「えっ?何っ?貴方・・・なにしてるの!?」
「案外ここ警備緩いぜ?ここが一番近道だから俺はいつもここから・・・」
成宮の姿が目の前からすっと消えて、桃花はすぐさま茂みに駆け寄った。
「ちょっと?どこ行ったのよ~っ!?」
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