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― 今の女・・・?
『桃花』って言ってたな・・・?
あの娘も同じ・・・『ももか』って名前だった。
ちょうどあんな長い・・・茶色の巻き髪で見た目がハーフっぽいせいか、よくイジメられてたな。
昔を思い出したのかいつもは無表情な成宮がふっと柔らかい顔で微笑む。
そういえば見た目はよく似ている・・・
「・・・まさか・・・な?」
イヤ、こんな所にいるはずがない。
それにあの娘はあんなに自信の満ち溢れた堂々としたミーハーな女じゃなかったし・・・
もっと大人しくて優しい・・・天使のようなコだった。
††††††††††††
2
「ハイ、皆静かに~?今日からウチのクラスに入る転入生を紹介します!じゃあどうぞ石野さん?」
高等部1年1組の教室のドアが開かれると、1組の担任・平山紗依(ひらやまさえ)がザワザワとしている生徒達を静めるように手を叩きながら教室に入ってきた。
平山の後ろに続いて桃花も教室へ入ると、見知らぬ転入生の登場に1組の生徒達は一斉にどよめいた。
「聖凛女子から参りました、石野桃花と申します。皆様よろしくお願いいたします」
はあ・・・なんとかホームルームには間に合った。
平山先生が少し遅れて教室に行くと言ってくれたおかげで髪も整えられたし。
桃花は涼やかな声で言うとニッコリと天使のように微笑んだ。
教室中の生徒達は桃花に釘付けになる。
「『聖凛女子』ってあれだろ?京都の有名なお嬢様学校の・・・」
「あのコハーフみたい~っ!超美少女っ!」
桃花の外見は高評価なようだ。
「石野さんの席はこのクラスの委員長、前田さんの隣ね・・・前田さん!」
「はい」
教室の真ん中の列の一番後ろに座っている女子生徒が軽く右手を挙げた。
「彼女が前田彩(まえだあや)さん。前田さん、石野さんに学園の事とか後で教えてあげてくれる?」
「はい先生」
彩の凛としたよく通る声は周囲の空気を一瞬で粛々とさせる。
サラサラのボブカット、きちんと揃えられた前髪、意志の強そうな瞳はクラスの委員長という立場に相応しく、彩はクラス中から信頼されている。
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