Episode1 お嬢様はかく語りき 

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 桃花が自分の席へ向かうと、彩の左隣の席に座っている女子生徒の姿が目に入った。  可憐な雰囲気を醸し出したその女子は、桃花と目が合うとふんわりと微笑ん だ。  ― わあっ・・・か・・・可愛いっ!  この可憐で清純派の女子はなにっ?・・・カワイすぎる~っ?  色白で細い華奢な腕・・・肩より少し長めのゆるふわセミロング。  守ってあげたいって感じのタイプだ。  きっと男子生徒にモテるんだろうなあ~  鷺ノ宮学園来てよかった~  なんだか楽しくなりそうっ!  桃花の未来は明るい・・・などと誰が考えたのか。  後にそんな考えを思い浮かべた自分に問い正したくなる・・・  そんな未来が待ち受けていたとは  今の桃花には到底予想できない・・・ことだった。  †††  「石野さんって京都から来たの?」  「ええ、そうなの」  ホームルームが終わってすぐに桃花の周りに人だかりができると、クラスメイト達が口々に自己紹介していく。  覚悟はしていたが、質問の嵐だ。  一通り訊かれたあと、桃花はある気になる質問をしてみる。  「あの、そういえば私の隣の席の人って今日はお休みなの?」  やっぱり隣の席というと、近いしすぐ話しかけることのできる距離だし・・・  転入したばかりの桃花と仲良くなる友達になるかもしれない・・・という桃花にとって希望のある重要なポジションだからどんな人がいつも座っているのか気になっていたのだ。  桃花の言葉に周囲のクラスメイト達の笑顔が止んで一瞬沈黙ができた。  「・・・あ~ここの人・・・」  「あんまり来ないからよく分かんない~」  「俺も話したことないな~」  皆の歯切れの悪い曖昧な答えに桃花は疑問を感じる。  「でももう9月だし学校には来てるんでしょう?」  「アイツ出席だけ取ったらどっか行くしわかんないよな?」  「ウンウン。いつも無言だもん、怖くて皆近寄らないの。石野さんも近寄らない方がいいよっ?」  ― え・・・怖い!?  近寄るなって方が無理でしょ、席隣なんだから。  皆のこの表情って・・・いったいどんな人なの?  変な人が隣ってイヤなんだけど~っ!?  
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