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†††
「石野さん」
「はい?」
「昼食終わったら学園の案内するわ。お昼休み空いてる?」
クラスメイト数人に囲まれて初日は教室で昼食を摂った後談笑していたら、さっきまで教室にいなかった彩がいつの間にか桃花の前に立っていた。
放課後は彩が委員会で案内できないらしく、今日は案内できるところだけしてくれる事になった。
「鷺ノ宮学園は中等部、高等部、大学と同じ敷地内にあるんだけど、体育館や講堂、運動場などの施設は共用しているものが多いから移動する時は早めにね・・・移動教室の時は最初は私と行きましょう」
「ええ、助かるわ前田さん」
「今いる高等部の校舎の2階が私達1年生と2年生の教室。東側に2年生の教室が並んでるわ」
彩は校舎の中央の吹き抜けになっている階段前で東側を指さして言うと、そのまま階段を降りていく。
桃花はきょろきょろと辺りを見ながら彩の後をついていく。
「1階は職員室の前に学園長室、副学園長室、応接室・・・東側は先生達の施設が多いわね。西側に食堂、購買部、保健室があるわ。購買は朝7時から夕方18時まで空いているから・・・隣はカフェね」
「食堂広い~っ!カフェも素敵ね」
「ええ。・・・後この通路を通って体育館や運動場に行くの」
― なんだ・・・ここから入れたんだ?
朝遅刻しそうだったのに私、遠回りしちゃった。
桃花は彩の説明に『ウンウン』とうなずきながら、こっそり思った。
「桃花」
階段を上りかけたところで食堂から出てきた晴臣に後ろから声を掛けられ、桃花は振り返った。
「晴臣兄様」
「学園案内してもらってんの?朝は間に合ったか?」
「ええ、何とか間に合ったわ。こちらクラス委員長の前田さん」
「ああ、前田さん?桃花の兄の石野晴臣です。桃花の事これからよろしくね」
「はい、こちらこそ。石野先輩の妹さんだったんですね」
「あら、前田さん晴臣兄様を知ってるの?」
「石野先輩すごくモテるのよ?成績も2年のトップだしこの学園で知らない女子はいないわね」
「初耳だわ。ホントなのっ兄様?」
「うーん・・・それを言うなら前田さんも有名人だよ?」
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