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いつの頃からだろう――
僕は時折、ものすごく大切な約束を忘れているような、そんな焦りにかられた。
「卯月君、行くよ。…早く車に乗りなさい。」
「は、はいっ!」
早瀬さんは口調は優しいが、どこか怖い人だ。
ママの再婚相手とうまくやっていくのは、いつも疲れるな。
この人は何年、いや、何ヵ月もつかな。
…僕はいつもそんな事を考える。
ママは男運に見放され、再婚相手とはいつも長続きしないんだ。
「早瀬さん。息子は性格がいいの。仲良くしてあげてね。剣道部の主将なのよ、部活には貴方が送り届けてね。」
猫なで声を出すママは、最近疲れぎみだ。
だから部活の送迎は早瀬さんの仕事。
1度、「君のママは人使いが荒い」と愚痴をこぼされたが聞き流した。
知ってて付き合ってたんじゃないの?
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