yakusoku

2/28
前へ
/28ページ
次へ
いつの頃からだろう―― 僕は時折、ものすごく大切な約束を忘れているような、そんな焦りにかられた。 「卯月君、行くよ。…早く車に乗りなさい。」 「は、はいっ!」 早瀬さんは口調は優しいが、どこか怖い人だ。 ママの再婚相手とうまくやっていくのは、いつも疲れるな。 この人は何年、いや、何ヵ月もつかな。 …僕はいつもそんな事を考える。 ママは男運に見放され、再婚相手とはいつも長続きしないんだ。 「早瀬さん。息子は性格がいいの。仲良くしてあげてね。剣道部の主将なのよ、部活には貴方が送り届けてね。」 猫なで声を出すママは、最近疲れぎみだ。 だから部活の送迎は早瀬さんの仕事。 1度、「君のママは人使いが荒い」と愚痴をこぼされたが聞き流した。 知ってて付き合ってたんじゃないの?
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加