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「くああ…寝ちゃったな。もう9時か。コンビニで何か買うか?」
早瀬さんは眼鏡の位置を直すと、エンジンをかけた。
悪いが、あまり美しい寝顔とは言えないな。
ママはこの男のどこに惹かれたんだろう?
「家まで我慢します。どちらかと言うと、空腹よりも睡眠をとりたいので。」
「確かに朝早いからな。さすがに鍛えてるだけあって、腕が太い。」
早瀬さんは僕の腕を無遠慮につかんだ。
何とも言えぬ不快感を感じた。
早瀬さんに触られた所から、腕が腐ってしまいそうなほど、嫌な気分だ。
「君のママは美人だけどさ…」
車を走らせながら、早瀬さんが呟く。
「少し配慮が足りないよな。」
また愚痴ですか。
要約すればつまり、早瀬さんはママの身体が目当てで近づいたけど、慣れてきたらアラが見え始めた、と。
実は結婚を早まったかな、と後悔していると。
そんなふうに聞こえるよ。
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