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『あら、意外と土っぽい物を作るのねぇ』
……静かにしてはくれないようです。
どこから出てきたのか、ゆうらゆうら風を起こす扇子には、露草と水流が描かれています。
なかなか趣味の良い物ですね。
『そんな綺麗な顔をしてるのにねぇ』
「私は基本的には炭化や焼きしめを好みますから。可愛らしい物がお好みなら、十夢の方へどうぞ」
『あの子より、貴方のがタイプなのよ?』
……会話にならないので、取り合えず釉薬を掛けてしまいましょう。
今さっき土っぽいと言われた花瓶ではなく、ろくろで引いた椀に、蓋付の桶から柄杓で汲んだ釉薬をとろりと掛けていく。
先に内側に掛けて、乾かすためにそっと手板に乗せた。
内側に垂れていく流れが、焼き上がってどんな顔になるのかは分かりません。
だから、窯を開ける瞬間は何度やっても期待と不安に胸が高鳴るんです。
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