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『夏が来るわね』
「そうですね」
『夏祭り楽しみにしておくわ』
「はっ?」
うふふっと笑ってふわりと消えた露姉さんのいた場所には、前よりも増した艶だけが残っているようでした。
「言い逃げですか……」
私が夏祭りなんてものが大嫌いなのを知っていて、そう言うことを言うんですね。
嫌がる私の顔をみるのが楽しいんだと、趣味の悪いことを言っていましたっけ。
私を必要としてくれる人が存在するのかどうか、今も半信半疑です。
それでも、私の居場所はここなのだと、それだけははっきりと刻むことの出来た初夏でした。
私のなかには闇がある。
けれど、それに呼ばれずに、胸のうちに抱えて共に生きていくことも、出来るのではないでしょうか。
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