1、青磁の香炉

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そんな馬鹿な! 例え、時代がはっきりしなくても、とても二千円で取引されるような物ではない筈です。 疑いの目を向ける私に、苦笑いを浮かべた十夢は、頭を掻きながら説明を始めた。 「いや、最初は俺なんか買えない値段が付いてたんだ。ゼロがいっぱいのなぁ?それがなぁ、なんでか俺にならこの値段で良いって言い出したんだよ」 何やら曰く有げな…… と言いますか、そんなことが出来ちゃう力を持っているんですが、このお姉さんは。 何故か私の隣に座って、にこやかに頬を触っているこの女性を、なんて呼んで良いのか分かりません。 『露草よ、あの方は私を露草と呼んだわ』 どの方ですか。 私は、少し意外に思って女性を見下ろしました。 そんな可憐な感じには見えませんけどね。 あの方が、どの方なのかさっぱり分かりませんが、どうやらこの方は居着く気満々のようですね。 やれやれ……厄介な事にならないと良いんですが……
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