第1章 あたりまえなことに ありがとう

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そして彼女はこの年小学校を卒業し、F中学校に入学した。 不安でいっぱいだったという。 校門に入るとき… 「ここでうまくやっていけるのかな?」 彼女は心のなかでつぶやいた…。 でも三分の二ほど他の小学校からきた生徒がいたため、上手くやっていける自信はあった。 部活にも入った。 彼女は音楽が好きだったため弦楽合奏部に入部した。 その年の新入部員は非常に多かった。 1クラス分は軽くいたと思う。 入部して直ぐに楽器の希望調査があった。 彼女の希望は 第一希望 cello 第二希望 cb 第三希望 violin 選抜は簡単なあみだくじだった。 定員五人にたいして六人の希望だった。 結果は…。 見事第一希望に入ることができた。 しかしその日に欠席をしていた一人が惜しくも落選した。 彼女は 「申し訳ないな…。」 「もし私がいなかったら…。」 などと考えていた。 「だから彼の分まで私は頑張りたい。」 と日記につづっていた。 しかしまだ思うように手足が動かなかった彼女は上手く弾けなかった。 「くそー!!なんで上手く弾けないの? 他の子は上手く弾けてるのに…。」 悔しかった。 部活を投げ出したくもなった…。 でも彼を思うと投げ出せなかった…。 「私のできる範囲で頑張ろう」 投げ出したくなる時はいつも、そう思って頑張った。 でも結局うまく弾けず、コンクールメンバーにも選ばれなかった。 彼女はいつも舞台裏でみんなを見ているだけであった…。 泣くこともあった…。 悔しくて、悔しくて 結局、コンクールに出られないまま三年が過ぎ彼女は卒業した。 同じ学年のみんなはコンクールメンバーに選ばれ、舞台で輝けていたのに私は… 「ポロッ」彼女の瞳から涙が落ちた。 会いたくて部員に再び会いたくて…。 ~部員に一言~ 「みんなありがとう。」
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