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もし――政と近くに住む佳人とゆかりがあると知っていたら、両親は結婚を快諾してくれただろうか。
何も言わない両親には聞けず、姉にも聞くタイミングが持てず。
でも、政への接し方は今までと変わりがないし、佳人のことを、多分、いろいろ知っているだろうに耳打ちすらしない家族に感謝した。水流添家は予断を持って人と接するのを良しとしない家風だったから。
そして姉の道代は元々物怖じするタイプではない。
引っ越しの手伝いで青山の本家に来て以来、なんだかんだと理由をつけて妹の婚家への訪問を繰り返した。
「お家が近くなったから、嬉しくて」
とか何とか言って笑う道代を、姑はどう思っていたかはわからないが、そこはふたりとも大人、いや、タヌキとキツネの何とやらか。相手を牽制しつつ、尻尾はつかませませんよ、といった風情で世間話をしていた。
道代は人と交わり、自分のペースに持っていける名人だった。
そこに秋良が加わると、ダシが増える。
実家よりはるかに広い青山の家がお気に入りになった彼女は、どたどたと無遠慮に走り回った。
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