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「これ、秋良、静かになさい!」
さすがに道代も焦るが、姉の子供だ、秋良も自分のペースで大人を操る術を知っている。
「女の子はどんどんしないの」
姑も、時々、静かにお小言を言い、その時ばかりは姪も姉も恐縮していたが、姑が嫌がっているかというとまったくそんな感じは受けなかった。
「小さい子供は、女の子は、いいわね」
ぽつりと言う言葉に、抑揚はないけれど、どこか心にかかるものを加奈江は感じた。
姉親子の来訪は思わぬ副産物を生んだ。
家にいることが稀な義父が、あらかじめ来訪を告げておくと在宅することが増えたからだ。
祖父や父とは違うタイプの男性である慎に、秋良は懐き、背高のっぽのおじちゃまと慕った。
慎が、これまた意外なことに秋良を可愛がった。
「小さい子はいいね」
慎は言った。
房江も、慎も、子供好きとは。加奈江は面食らった。
「無限の力を感じて、こちらも元気になるよ」
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