0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ハゲの治療は色々ある。目を背ける前は色々な治療法について考えたものだ。
ミノキシジルという髪の生える医薬品を髪の毛にぶっかけたこともある。
効果はなかった。
なので次に手術。
22歳のころ髪の毛の専門クリニックに行って髪の毛の増量について相談したことがある。
自毛植毛というやつだ。
人工に比べると術後のケアが楽であり、自分の毛を使っているので安全、安心。人工毛が切れて頭皮にささったままという心配もない。
でも結局は方法が男性ホルモンの影響を受けにくい自分の頭の後ろから毛を持ってきて移植するものだった。
通常であればいいのかもしれないが、俺は頭全体が薄い。頭全体だ。
そんなことをしても意味がないし、取ったところの後頭部が禿げることを簡単に想像できた。後頭部だって禿げているんだ。禿げているところから髪を抜き取るなんて剥げるに決まっている。無理だ。
俺はそんじょそこらのハゲではないのだ。本当に薄い。
DNAに刻み込まれた生まれながらのハゲ遺伝子はもはやどうしようもない。自分より禿げている同世代を1度として見たことはない。1度もだ。
そういえば、過去に病気の治療で副作用により髪が抜けてしまうという同世代を二人見たことがある。その人たちは俺よりも禿げていた。仕方のないことである。
しかし、治療が終わり、服薬を止めてからはあっという間に俺よりふさふさになった。飛ぶ鳥を打ち落とす勢いだ。
というか、俺は飛んですらいない波平だ。
このハゲは男性ホルモンによる影響でないことは確かなので、現状がこの退んな光景でも、数年後にハゲが急激に悪化する可能性は低いかもしれない。
ジダンみたくはならないだろう。
しかし、遺伝子がこうである以上、治療のしようがない。…母さんがそうだったように。
もしこの小説をお読みの方がいらっしゃったら、こんな自分でもなんとか人並みの頭皮を持ち、強く悩まされることが少なくなるよう、改善方法をご享受して頂きたいと強く願います。
生まれてから今まで、そしてこのままだと、この先永遠に髪が生えている自分に出会えないと思います、
近い将来髪の生える治療法が見つかればいいのに…と希望だけは捨てないようにしようと思いますが…
最初のコメントを投稿しよう!