13 新しき日々

23/23
3720人が本棚に入れています
本棚に追加
/354ページ
「……どうして、君に守ってもらう選択肢しかないんだ?普通は逆だろ。男性が女性を守るんだ。君の考えは……世間の感覚とずれている」 困ったような顔を、私に見せる陛下に、なんて答えて良いのか迷ってしまうが、口をひらいた。 「で、でも。陛下はハイブリーを治める大事なお身体。何かあったら大変です」 「それでも、君よりは強いと思うよ。もちろん、力を使われれば負けそうだけどね。それと、君には気づかれないように護衛はついている。だから、何かあっても君が戦うことはない」 思わず、キョロキョロと辺りを見渡していると、陛下が早足で歩き出し小走りになる。 ……全然、わからなかったわ。でも、よく考えればそうよね。陛下の周りに護衛がいない訳がないもの。でも……。 「あの、陛下、ティレーゼ様はよろしかったのですか?私は一人でも大丈夫ですので、お戻り下さい」 すると、またしても、陛下が困った顔を見せたが歩みは止まらない。 「君は周りに気を使いすぎだ。誰かのために戦ったり、誰かのために自分を犠牲にする……そんな人間は私にとっては迷惑だ」 吐き捨てるように言われ俯いてしまった。 何も答えられなくて、そのまま、歩き続けていると、森の小道へと入って行く。 「もうすぐ行くと開けた場所がある。ハイブリーで一番、景色が素敵な所だ。そこで……ティーレの話をしよう。昔、私が愛した大切な人の――」
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!