3722人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、陛下が弱々しく笑った。
「あなたはティーレと同じ顔をしているのに全然違う。ティーレは私が傍にいないと何も出来なかった。あなたは、自ら行動し決断する。強い女性だ」
思わず顔を顰めそうになったが、何とか堪えた。
私が一番嫌いな言葉をファルシア様は口にしたから。
「強い女性」この言葉は、私にとっては足枷であり気持ちを重くする呪いの言葉だ。
私は、そんなにも強くないと、心の中で否定する。
「……可愛い素敵な女性だったのでしょうね。ティーレさんは。私とは違って」
心に痛みが走り苦しくなる。
だけど、ファルシア様は、当たり前のように私のそんな様子には気が付かない。
「ええ。私の隣にいるのが当然で、ティーレしか見えなかった。それなのに、彼女の変化に気づけなかった。彼女が……私の想いの重さに耐え切れなくなっていたことすらわからなかった」
絞り出すように口にした後、困ったように私を見た。
「ティーレは、私の他に想う男がいたそうなのです」
「えっ?」
予想外の展開に驚きを隠せない。
最初のコメントを投稿しよう!